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Channel: カネミ・カネカ油症に正義を!
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[転載]複雑になって来た東アジアの情勢

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 北朝鮮は、日本海に向けてのミサイル発射を繰り返している。日本政府は拉致問題の解決に向けての交渉の関係があり、これに対してむやみに強い非難行動をとることを自制している。金正恩王様は、そのことを予期して、拉致被害者を人質のように扱っているといえよう。 しかし北が経済的に困っていることは事実であり、金王朝は日本の経済制裁が緩められることへの期待との兼ね合いで、日本と外交取引をしている。日本政府も十分に計算しながら、金王様を満足させて終わることがないように、駆け引きをすることが望まれる。 
 韓国軍の将校は、朝鮮戦争の歴史にかんがみて共産主義勢力に気を緩めることはしていない。このことは自衛官時代の私が認識してきたことである。一方で北の金王様は、1700年も前の高句麗時代に漢民族と争い中国の東北方面に進出していた北朝鮮の歴史が頭の隅にあるようだ。そのためか最近は、北が中国に頭を下げる一方の外交態度をとることをやめたようだ。そのため日本とは、できれば外交関係を保ち、経済的な利益を得たいと思っているようにみえる。
 中国の習近平国家主席(共産党総書記)は、金王様のそのような態度が気に食わない。そこで韓国の軍人や官僚が北朝鮮と距離感を持ち、またアメリカ軍が沖縄におけるのと同様に韓国大衆から反感をもたれている状況も考えて、さらにたまたま朴女性大統領が性的に潔癖で事実の有無とは無関係にいわゆる従軍慰安婦問題をあげつらっているのにも付け入って、彼らの頭目である朴女性大統領に接近し、韓国を中国側に取り込む行動をしている。
 このことは日米両国にとって望ましいことではない。第二次大戦の終結後に生まれたこれら各国の指導者は、その成長の段階で民族主義を主とする愛国心教育を受けている。彼らが言う正しい歴史ならよいのだが、得手勝手な歴史教育を受けてきている。そのため中国は漢民族中心の世界を作ることに指導者の頭が向いている。 一方で共産党を利用して、個人的な利益を得ることも本来の中国人の歴史の中で形成されてきた民族性のなかにある。チベット人やウイグル人、内蒙古人、雲南方面からベトナム方面の漢民族以外の人々は、彼らにとり搾取の対象でしかないので、清国時代の版図が現在の漢民族の中国であるべきだと誤った概念に支配されそれを主張している。清王朝の時代は漢民族にとっては満州の異民族支配の時代であるのだから、その時代が正しい中国の時代だとする理屈は成り立たないはずだが、そのようなことは共産党支配の漢民族にとっては、自分たちの利益のためには関係がないと思っているようだ。その思考を中国大陸内だけでなく、シナ海から太平洋にまで及ぼそうとしているのだから、日本をはじめ東南アジアの国々にとっては迷惑なことである。
 南北朝鮮半島の人々や日本をはじめとする周辺諸国は、団結して中国に対処するほかあるまい。そのためにはアメリカの力を借り、場合によってはロシアも利用する必要がある。 なお南北朝鮮は民族が微妙に違っている。日本人の血には1000年以上前の南部朝鮮の百済や任那などに由来し、さらに遡ると沿海の漢民族や雲南系の米作民の血も流れていると思われるが、朝鮮半島内でそのような血がいくらか違う南北の合同政府がもし成立すると、合同して日本に圧力をかけてくると思われるので、日本は今から、対策を考えておかねばなるまい。外交に先手ありだ。
 安倍総理は戦後の日本の総理の中では、これまでの多くの総理よりも安全保障に力を入れていることがはっきりしている。経済的な施策には首をひねるものもあるが、すくなくとも安全保障関係では当面、安倍路線に乗るほかはないのではないか。中国がもたらしているアジアの危険な状況に、どのようにして解決の道を求めるのか、単に過去の占領時代に形成された延長線上にある平和路線だけを、信奉している人々は、もう少し深く考えてみる必要があろう。

転載元: 軍事評論家熊谷直の社会評論


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